前回は、投資信託を選ぶときに見るべき資料——
交付目論見書と月次レポートの読み方を整理しました。
今回はその読み方を使って、
よく名前を聞く4つの商品、
オルカン・S&P500・NASDAQ100・FANG+を、
名前や過去の成績ではなく、
分散・集中・役割という視点で比較していきます。
この4つって、
結局どれも米国の
強い会社に投資してる
イメージです。
米国の比率は高めですが、
4つとも同じではありません。
世界に広く分散している商品から、
ごく少数の企業に集中している商品まで、
並べてみると性格がかなり違います。
オルカンの特徴

オルカン(オール・カントリー)は、
第1回でも触れたとおり、
世界中の株式にまとめて投資する商品です。
日本を含む先進国・新興国まで、
数十か国の企業がまとめて入っています。
中身を見ると、
米国企業の比率が6割程度を占めるのが目安で、
残りの4割程度が日本を含むその他の国々です。
信託報酬は0.1%程度以下のものが多く、
前回見た低コストの目安にも当てはまります。
オルカンには日本企業も入ってるんですね。
世界中に分散してるなら、
かなり安全な商品
ってことですよね?
分散でリスクは抑えられますが、
ゼロにはなりません。
世界の株式全体が下がる局面では、
オルカンも一緒に値下がりします。
米国比率が高い分、
米国市場の影響も大きく受けます。
S&P500の特徴

S&P500は、
アメリカの主要企業500社にまとめて投資する商品です。
この500社で、
米国市場全体の時価総額の8割程度をカバーしているとされ、
「米国経済そのもの」に近い値動きをします。
信託報酬は0.1%程度以下の商品が多く、
オルカンと同じくらい低コストです。
S&P500はアメリカだけなんですね。
オルカンも6割米国企業だから、
持ってる株が
かぶってくる気がします。
たしかに重複はありますが、
意味がないわけではありません。
オルカンに足すことで、
米国の比率をさらに高める、
という使い方ができます。
「世界分散か、米国集中か」という選択そのものです。
NASDAQ100の特徴

NASDAQ100は、
米国のハイテク企業を中心とした100社に投資する商品です。
S&P500よりも対象企業が少なく、
業種もハイテク寄りに偏っています。
上位10社程度で、
資産全体の5割を超えるケースも目安としてあり、
S&P500よりも集中度が高い指数です。
信託報酬は0.2〜0.5%程度のものが多く、
オルカン・S&P500よりは高めです。
私でも聞いたことのある会社あった!
でもS&P500と結構かぶるきがしますね。
たしかに銘柄は重なりますが、
集中度がまったく違います。
S&P500は500社に広がっているのに対し、
NASDAQ100は100社、
しかも上位10社の比率が高いため、
値動きはより大きくなります。
FANG+の特徴

FANG+は、
Apple・Amazon・Google・Meta・Netflixなど、
名前を聞いたことがある有名企業を中心に、
10社程度に投資する商品です。
4つの中でもっとも対象企業が少なく、
上位10社で資産のほぼ全部を占めます。
信託報酬は0.7%程度のものが多く、
4つの中ではもっとも高コストです。
NASDAQ100をさらに絞り込んだ感じですね!
超大企業だからむしろ手堅い
気がします!
知名度の高さと、
値動きの安定さは別物です。
わずか10社程度に集中している分、
4つの中でもっとも値動きが大きくなりやすい商品です。
世界分散と米国集中
4つを並べると、
オルカンは世界分散、
S&P500・NASDAQ100・FANG+は米国集中、
という大きな分かれ方が見えてきます。
米国の比率で見ると、
オルカンは6割程度、
残りの3つは実質100%が米国企業です。
米国がこれからも
伸びるなら、
米国だけに集中した方が
良くないですか?
過去の実績だけ見ればそう感じます。
ただし集中するほど、
米国が不調な局面での下落も大きくなります。
世界分散と米国集中は、
安定と期待リターンのトレードオフです。
大型テック株への集中
米国集中の中でも、
NASDAQ100とFANG+はさらに一段集中しています。
S&P500の上位10社にもハイテク企業が含まれますが、
500社中の10社という比率です。
NASDAQ100は100社中の上位10社で5割超、
FANG+は10社中の10社、
つまり全部が上位企業です。
ハイテク企業がこれからも
伸びるなら、
集中してて当然
じゃないですか?
伸びる前提が崩れたとき、
集中度が高い商品ほど、
下落も大きくなります。
第5回で見た
「個別株>アクティブ型>インデックス型>債券」
のリスク順序と同じ考え方です。
コア・サテライトという考え方

コアは安定、サテライトで攻めるって感じですか?
僕は年齢的にもオルカン1本で
もう十分な
気がします。
1本でも、組み合わせても、どちらも正解です。
考え方の一つがコア・サテライト戦略です。
安定させたい部分を「コア」、
積極的に伸びを狙う部分を「サテライト」
として分けて考えます。
オルカン100%というシンプルな考え方
もっともシンプルなのは、
オルカン1本だけを持つ考え方です。
世界中に分散されているため、
これ単独でも「コア」の役割を果たせます。
組み合わせを考えるのが面倒、
もしくは値動きの大きさを抑えたい人には、
無理に他の商品を足す必要はありません。
オルカン+NASDAQ100、オルカン+FANG+の考え方
オルカンを「コア」、
NASDAQ100やFANG+を「サテライト」として、
一部だけ追加する考え方もあります。
米国のハイテク企業の伸びにも期待しつつ、
土台はオルカンの世界分散で支える形です。
サテライト部分を増やすほど、
値動きの大きさも一緒に増えていきます。
コアで土台を作って、
サテライトで
少し攻める、
ということですね。
NASDAQ100とFANG+を併用する場合の注意
NASDAQ100とFANG+を両方持つ場合は、
注意が必要です。
FANG+の対象企業は、
NASDAQ100の上位企業とかなり重複しています。
2つを組み合わせても、
分散にはほとんどならず、
むしろ集中度をさらに高めることになります。
分散させてるつもりが、
実は同じ会社を
2回買ってる
ことになるんですね。
そうです。
商品名が違っても、
中身が重なっていれば
分散効果は限られます。
前回の「組入上位銘柄」を確認する習慣が、
ここでも役に立ちます。
iDeCoはコア中心、攻め枠はNISA側
コア・サテライトの考え方は、
制度との組み合わせにも応用できます。
第3回・第4回で見たとおり、
iDeCoは原則60歳まで引き出せない制度です。
引き出せない期間が長いからこそ、
iDeCoでは値動きの大きい商品ではなく、
コア向きの商品を中心に置くのが基本的な考え方です。
一方NISAは、
必要なときに売却できる自由度があるため、
サテライトの攻め枠としても使いやすい制度です。
iDeCoもNISAも、
同じ感覚で商品を
選べばいいと
思ってました。
どっちも同じノリで
選んでいい
気がしてました。
制度の自由度が違う以上、
同じ感覚で選ぶと無理が出ます。
動かしにくい資金はコアで安定させ、
動かしやすい資金でサテライトを攻める。
これが基本的な役割分担です。
NotebookLMで理解を深めてみよう
4つの商品を自力で読み比べるのは大変なので、
ここもAIの力を借りましょう。
NotebookLMに資料を読み込ませて、
比較表と反対意見の両方を出してもらいます。
- オルカン・S&P500・NASDAQ100・FANG+それぞれの公式資料(交付目論見書)をNotebookLMに読み込ませる
- 「投資対象、分散性、値動き、主力向きか、注意点、中身の重複を表にしてください」と聞く
- 「この比較に対する厳しめの反対意見を出してください」と聞き、自分の考えに反証してもらう
ワーク:主力・攻め・守りに分類してみる
最後に、配分の数字を決める前に、
考え方だけを整理するワークをやってみましょう。
4つの商品を、
「主力候補」「攻め枠候補」「守り枠候補」の
3つに自分なりに分類してみてください。
まずはコアで守りを固めて、
サテライトで攻めをしたいです。
ここでは配分の数字を決める必要はありません。
「自分はどれを主力にして、
どこまで攻めるか」
という考え方を持つことが目的です。
第7回まとめ
- オルカンは世界分散(米国比率6割程度)、S&P500・NASDAQ100・FANG+は米国集中の商品
- S&P500は500社、NASDAQ100は100社で上位10社が5割超、FANG+は10社程度に集中し、集中度が段階的に高くなる
- 世界分散と米国集中、分散と集中はトレードオフの関係。集中するほど期待リターンも下落幅も大きくなる
- コア・サテライトの考え方では、オルカン1本もアリ。NASDAQ100とFANG+の併用は重複が大きく分散効果が薄い
- iDeCoは引き出せない期間が長いためコア向き、NISAは自由度が高くサテライトの攻め枠にも使いやすい
今回は、
4つの商品を分散・集中・役割という視点で比較しました。
次回はいよいよ最終回(第8回)です。
第2回からずっと予告し続けてきたNISAの
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を、
シリーズの締めくくりとして詳しく見ていきます。
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