前回まで、iDeCoの入り口(掛金上限・所得控除)と出口(受け取り方・税金)を整理してきました。
今回は「リスク」についてです。
第2回で株式・投資信託・ETF・債券の違いを整理したとき、
値動きの大きさにも軽く触れましたが、
今回はリスクを「危険」ではなく「値動きと不確実性」として理解するところから、
もう一歩掘り下げていきます。
リスクって、
危ない・損するって
意味ですよね?
リスクが高い=怖いけど当たると儲かる
リスクが低い=安全だけどそんなに儲からない
っていうイメージです。
一般的なイメージとしてはそうかもしれません。
でも投資の世界での「リスク」は、
危険そのものではなく、
価格がどれくらい上下にブレるかを指します。
株式・投資信託・ETF・債券、おさらい
第2回で詳しく見たとおり、
株式は企業のオーナーになる投資、
投資信託は数百社の株式・債券をまとめた「福袋」、
ETFは株のようにリアルタイムで売買できる投資信託、
債券は国や企業にお金を貸す投資でした。
投資信託やETFには、
市場指数に連動するインデックス型と、
専門家が銘柄を選ぶアクティブ型があることも確認しています。
今回はこの整理を土台にして、
それぞれの値動きの違いを、
もう少し具体的に見ていきます。
福袋とオーナー投資、
覚えてます。
株が一番値動きが
大きいんですよね。
その「値動きの大きさ」こそが、
今回のテーマである
リスクの正体です。
リスクとリターンは、表と裏の関係
投資の世界では、
リスクが高い資産ほど、期待できるリターンも高くなる傾向があります。
これを「ハイリスク・ハイリターン」と呼びます。
反対に、値動きが穏やかな資産は、リターンも控えめになりがちです。
第2回で見た値動きの大きさの順序、
個別株>アクティブ型>インデックス型>債券は、
そのままリターンの期待値の順序にも当てはまります。
「リスクを取らなければリターンも増えない」という
トレードオフの関係を、
まず頭に入れておきましょう。
リスクが一番高い商品を
選びたいけど、そんなに資金に余裕があるわけではないので
失敗がすごく怖いです!
うーん、、僕はリターンが大きいなら、
多少の下がるリスクも
受け入れられそうな
気がします。
みなさんとても悩むところだと思います。
リターンだけで選ぶと、
下落したときに
耐えられず売ってしまう人が
多いんです。
知っておきたい6つのリスク

「リスク」とひとことで言っても、
実はいくつかの種類に分けられます。
価格変動リスクは、株価や基準価額そのものが上下するリスク、
為替リスクは、外国の資産に投資した場合、
円とドルなどの交換レートの変動で資産価値が変わるリスクです。
信用リスクは、お金を貸した国や企業が約束を守れなくなるリスク、
金利リスクは、市場の金利が変動することで、
特に債券の価格に影響が出るリスクです。
さらに国・地域リスクは、特定の国や地域の政治・経済情勢が変化するリスク、
集中投資リスクは、1つの銘柄や国に集中して投資した場合、
その対象が悪化したときの影響が大きくなるリスクです。
リスクってこんなにたくさんあるんですね・・・
オルカンって、
世界中に分散してるから
リスクは低いんじゃ
ないですか?
たしかに分散投資は集中投資リスクを抑えますが、
外国の資産が中心のため、
為替リスクはむしろ大きくなります。
リスクが減る種類と、
残る種類があるんです。
為替リスク!
たしかに、以前外国株やってたとき、
やっともうかった!
と思っていたのに日本円に元してみると実はとんとんだった
とうことがありました。
よくあることです。
外国株では為替リスクは見逃してるかたが
多いですが、日本円に戻すときは注意が必要です。
リスクをゼロにはできないが、抑える工夫はある

リスクは「危険」ではなく「値動き」なので、
完全にゼロにすることはできません。
ただ、大きく振れにくくする工夫はいくつかあります。
1つ目は資産の分散で、
株式・債券・不動産など、
違う種類の資産を組み合わせる方法です。
2つ目は地域の分散で、
日本だけでなく世界中の国・地域に分けて投資する方法です。
3つ目は時間の分散で、
一度にまとめて買うのではなく、
毎月少しずつ買うことで、
高い時も安い時も平均的な値段で買うことができます。
これはドルコスト平均法と呼ばれる方法で、
NISAのつみたて投資枠も、
この時間の分散を前提に設計されています。
分散させればさせるほど、
リスクは減る
んですか?
分散は振れ幅を抑える効果はありますが、
無くすことはできません。
世界中が同時に下がる場面では、
分散していても資産は減ります。
毎月少しずつ買うのと、
一度にまとめて買うの、
結局どっちがお得
なんですか?
長期的なリターンでは
一度にまとめて買う方が
有利になりやすい、
というデータもあります。
ただ、下落直後の心理的な負担は、
毎月少しずつ買う方が小さくなります。
株式100%・債券・バランス型・預金、値動きの違い
値動きの大きさは、
資産の組み合わせ方によっても変わります。
株式100%のポートフォリオは、
年によって+30%や-30%という変動も珍しくありません。
債券中心のポートフォリオは、
変動幅が数%程度に収まりやすい傾向があります。
株式と債券を組み合わせたバランス型は、
その中間で、変動幅は目安10%前後に収まりやすいとされています。
預金はほとんど値動きしませんが、
その分、増える金額もごくわずかです。
てっきり、
バランス型を選べば
安心だと
思ってました。
「安心」ではなく、
「株式100%より
振れ幅が小さい」
と捉えてください。
「自分が耐えられない下落」を先に考える
商品を選ぶときに、
多くの人は「どれくらい増えるか」から考えます。
しかし、長く続けるためには、
「どれくらい下がったら、自分は耐えられなくなるか」を、
先に考えておくことが欠かせません。
下落に耐えられず、
一番下がったタイミングで売ってしまうと、
その後の回復のチャンスを失ってしまいます。
期待リターンの高さだけで選ぶのではなく、
自分の「下落への耐性」に合わせて、
株式の比率を決めることが、
長期投資を続けるコツです。
下がったときに
耐えられるかなんて、
やってみないと
わからない気がします。
だからこそ、
始める前に
シミュレーションしておく
ことが大切なんです。
たとえば100万円が一時的に70万円まで下がった場面を想像してみてください。
「いずれ戻る」と落ち着いて待てる人もいれば、
「これ以上減るのが怖い」と売ってしまう人もいます。
どちらが正しいということではなく、
自分がどちら側に近いかを、
下落が起きる前に知っておくことが大切です。
100万円が
70万円になったら、
正直かなり
動揺しそうです。
動揺すると気づけたなら、
株式100%ではなく、
バランス型を選ぶ理由が
できたということです。
ワーク:下落時の気持ちを想定してみる
最後に、次の3つの質問に、
今の自分の気持ちで答えてみましょう。
- 資産が10%下がったら、どう感じるか
- 資産が30%下がったら、売りたくなるか
- 下がった状態のまま、5年以上待てるか
30%下がったら、
正直ちょっと
売りたくなりそうです。
その答えこそが、
自分に合った
株式の比率を
考えるヒントになります。
リスクは「危険」ではなく、
「値動きと不確実性」として理解すると、
商品選びの見え方が変わってきます。
次回は、このリスクの理解を土台にして、
投資信託の読み方:目論見書・月次レポートを見る場所を
詳しく見ていきます。
第5回まとめ
- 投資の「リスク」は危険そのものではなく、価格がどれくらい上下にブレるかを指す
- リスクが高い資産ほどリターンも期待できる「ハイリスク・ハイリターン」の関係がある
- リスクには価格変動・為替・信用・金利・国地域・集中投資の6種類があり、それぞれ別物
- 資産・地域・時間の分散でリスクは抑えられるが、ゼロにはできない
- 増える金額だけでなく「自分がどこまでの下落に耐えられるか」を先に知ることが、長く続けるコツ
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